都市化の進む鹿島街道から山あいの農道を進むと堤にあたる。喧噪から隔絶され、里山の自然に包まれている。大きな鯉も時折岸辺に姿を見せ、カルガモの親子が水に潜ったり浮いたり。爽やかな薫風が水面を優しく撫でるようにわたっていく。
何の変哲もない里山なのだが、懐かしさが込み上げ、どこか遠くにでも来たような気持ちにさせてくれる。そこはゆったりとした時が流れ、心と自然が解け合っていく「癒し」の空間といえる。
堤の縁に腰をおろしていると「チーッ」というかん高い声。カワセミだ。水面近くをスーッと飛んでくる。2羽もいる、つがいだろうか。対岸の水辺の小枝にとまった。私は初めて見るカワセミに息をのむ。双眼鏡のレンズ越しのカワセミは、実に色鮮やかだ。コバルトブルーの背中はメタッリックカラーのように光り輝き、お腹の橙色といい、全身カラフルなファッションだ。
小枝にとまって小魚の動きを観察していたのだろう。一瞬、1羽がヒョイと枝を離れるや、アッという間に水面から獲物をくわえた。鮮やかな早業。ほどなくしてカワセミは林の中に。待つこと1時間。すると「チーッ」という声がして先ほどの小枝に。どうやら漁をしていく小枝は決まっているようだ。5分ほどだろうか、十分堪能させてもらった。笑顔がこぼれる。
カワセミにめぐり会えた堤、そこは地球と未来の世代から預かる大切な場所のような気がしてきた。
放射能に汚染されてしまった福島でどう生きるのか。それには目を背けずに現実と向き合い、科学に裏付けされた対策をとらなければなりません。これまでの経験や知識を生かし、いのちを守るために、いままで以上にがんばります。